エヴァーグリーンをさがして。 -2ページ目

エヴァーグリーンをさがして。

Do you still love and respect the world? Also, Have you found what you were looking for?


Sing For Big People(And Little People, Too) /Dick Williams' Kids ('65)

このアルバムは、10歳にも満たない、純粋無垢な6人のこどもたちが主役です。
大人顔負けのビッグバンド演奏(演奏は大人です)に乗って、往年のジャズ・スタンダードを軽やかに、可愛らしくコーラスします。だいたいジャズ・スタンダードに於ける歌詞なんていうのはカクテルが似合う大甘なラブ・ソングがほとんど。歌詞の意味を理解していないだろうこどもたちが、顔色ひとつ変えることなく淡々とコーラスに励む姿を想像しただけで頬が緩みます。おそらくそれが制作者側の意図とはいえ、こどもと対峙するとなれば、こちらも屈折した気持ちを抑えて素直に応えてあげましょう。
そんな「大人のため」に向けられた、チルドレン・ジャズ・ボーカルの大傑作。エヴァーグリーン認定盤。

1.Come Rain Or Come Shine
2.Sometimes I'm Happy
3.I'm In The Mood For Love
4.For Pete's Sake
5.All Of Me
6.Some Of These Days
7.Nobody's Heart
8.My Blue Heaven
9.Nearness Of You
10.That Old Feelings
11.After You've Gone
12.Papa Loves Mambo
13.All By Myself
2006年リリース
Focus Jazz : More Modern Jazz From The Wewerka Archive 1966-1969 /V.A

Jazzanova主宰のSonar Kollektivより、前回"FORUM WEST : Modern Jazz From West Germany, Wewerka Archive 1962-1968"以来、約2年振りとなるコンピレーションがひっそりとリリースされていました。
タイトル同様、今回もジャズ・プロデューサーであるHans Wewerka協力の下、66年~69年にかけての未発表音源が惜しみなくコンパイルされ、ヨーロッパ・ジャズファン(当ブログ的にも)にはスルー厳禁、とても未発表とは思えないクオリティーの高いキラーチューン満載。
海外音楽サイトのインタビューで、JazzanovaのJurgen von Knoblauchは本アルバム"Focus Jazz"リリースにあたってこう語っています(一部を抜粋させていただきました)。

インタビュアー : "What are your favourite tracks on the album and why?"
Jurgen : "Dusko Goykovich's 'Macedonia' and Kamil Hala's 'Nachtvogel' are both great. The compilation has a kind of gypsy feel and I like that. 'Macedonia' had been released, but we were really surprised when we saw the tape down in the archives because the master now belongs to the ECM label. But Hans Wewerka had the rights for a certain period. We even found a tape from Miles Davis, and Hans had the German rights on that at one point! So he worked as a producer as well as a publisher and licenser."

フェイヴァリット曲に民族性を感じられるという理由でDusko Goykovich"Macedonia"、Kamil Hala"Nachtvögel"を挙げた上で、ダスコの"Macedonia"に関しては、マスターテープがECMレーベルに属していたことに驚き、版権上の理由で困難を有した(一部を翻訳)、とあるからにして、ようやくJazzanovaとHans Wewerkaの渾身の力によって陽の目を露にしたのが本作というわけなのだ。
直感的に好みを判断するのは一般的な音に対する解釈のように思えるが、こういった背景を知った上で音を聴き返すと、より一層、有り難い音に聴こえてしまうのは私だけであろうか。
個人的にはマルの"Macedonian Fertility Dance"、カミール・ハーラの"Nachtvögel"がベスト・トラックなエヴァーグリーン認定盤。

1. Colours Of Sea - Joe Haider
2. Macedonia - Dusko Goykovich
3. To Go & To Return - Erich Ferstl
4. Blues10 - Milcho Leviev
5. No Way - Joe Haider
6. Plakate - Heinz Sauer
7. Down Town - Peter Korinek
8. Shangri La 1- Hans Posegga
9. Macedonian Fertility Dance - Mal Waldron
10.Nachtvögel - Kamil Hala
11.Double Chance - Erich Ferstl
12.Saga Se Teufels - Dusko Gokovich
13.Anwalt Des Teufels - Walter Geiger
14.Lost Day - Joe Haider
15.Suite Für Jazz Orchester - Pavel Blatny

全曲試聴できます♪
94年、SteepleChase再発
Watch Out! /René McLean Sextet('75)

前回に引き続きSteepleChase(障害物競走)レーベルから。
虚ろな表情を浮かべるジミヘン風出立ちの青年は何を隠そう、ジャッキー・マクリーンの息子、リーン・マクリーン。
同レーベルに在籍していたオヤジとの共演歴もある親子鷹であった一方、本作では彼独自の世界観を構築し、モード、フリー、ファンク、ロックのおいしい要素をフレーズに随所盛り込んだところをハード・バップに仕立て上げた、最高にクールな一枚。ジャズ初心者からジャズに肥えた方まで衝撃を受けること必至。
エヴァーグリーン認定盤。


Rene McLean (as,ts,fl)
Danny Coleman (tp,flh)
Nathan Page (g)
Hubert Eaves (p)
Buster Williams (b)
Freddie Waits (d)

1.Bilad As Sudan(Land Of The Blacks)
2.Aida
3.What It Is
4.Watch Out!
5.Jack's Tune
6.Jihad
7.Uptown - Downtown
93年、SteepleChase再発
Short Story /Kenny Dorham ('63)


Kenny Doham(tp)
Allan Botschinsky(flh)
Tete Montoliu(p)
Niels-Henning Ørsted Pedersen(b)
Alex Riel(d)

1.Short Story
2.Bye Bye Blackbird
3.Manha De Carnival
4.The Touch Of Your Lips
5.My Funny Valentine

試聴できます♪

1963年にコペンハーゲンのクラブ"モンマルトル"での熱いライブ模様を収録。
ケニー・ドーハム、アラン・ボッチンスキー、テテ・モントリュー、ニールス・ペデルセン、アレックス・ニール...おっと、ヨダレが。ケニーを取り巻くサイドメンはヨーロッパでも選りすぐりの最強布陣で固められている。
彼らに触発されたかのように切れのあるブロウを披露するケニー。
そんなケニー相手にも全く怯む様子もない各ソロ・パートは圧巻。特にニールスのパッキング、テテのピアノ。てか弾き過ぎ...?
捨て曲なし、いつまでも掛け流しておきたくなるハード・バップ絵巻。
エヴァーグリーン認定盤。


裏ジャケ
458R.T./Day Is Over ('75),60 Winslow/ Mike Koskinen ('75) ※2001年リリース

一見、曲名かアーティスト名なのか戸惑ってしまいそうなこのレコードは、北欧ジャズの隠れ名演を12inchで紹介するJAZZPUU(ジャズプー)発のスプリット盤。
まずはA面を飾るDay Is Overのメンバーに着目。古くはJazz Quintet '60の看板トランぺッター、Allan Botschinskyがトランペット&フリューゲルホーン、同じくベースのNiels-Henning Ørsted Petersenが参加のクインテット。
とはいえあれから10年以上の年月が経った彼らにはJazz Quintet '60在籍時に魅せたストレート・アヘッドな演奏は全く影を潜め、混沌渦巻く70年代らしいブラジリアン・フュージョン直系ジャズ。驚きもしない見事な流れじゃないか。小気味よいエレピが涼感抜群。さ、次。
B面はフィンランドのトランぺッター、Mike Koskinen率いるセクステットの変幻自在ファンク・ジャズ(別名"エレクトリック・マイルスやろうぜ!!)。メンバーにはピアノトリオで数々の名盤を残しているVladimir Shafranovがエレピで参加。途中、メンバー4人がハンドクラッピングする展開に思わずニヤリ。

Side-A
458R.T. /Day Is Over
↑試聴できます♪

Side-B
60 Winslow /Mike Koskinen

Heaven On Earth /Genai ('99)

暮れ行く夕日の浜辺。遠慮がちに打ち寄せる音波間から潮の香りがほんのりと鼻につく。
微笑に包まれた彼女の横顔がいつもよりも眩く映る。
このアルバムを聴くと、そんなサウダージ的なシチュエーションの妄想を掻き立てられてしまう。
パートナーのオリヴァー・ウェンデルが放つこの上なくキャッチーなトラックメイキングに乗せて、透明感を含んだ歌声の持ち主・ジェナイが爽快に歌い上げる"Heaven On Earth"はUK Soul永遠の名曲。夏はもう、すぐそこに。
エヴァーグリーン認定盤。

1.Heaven On Earth
2.Africa
3.Temperamental Winds
4.Runaway
5.Brazil
6.The Biggest Part Of Me
7 .Someday Out There
8.It's Too Late
9.Wouldn't You
10.Human Nature
11.Pretend

試聴できます♪
気乗りがしなかったために長らく更新を怠っておりました。
今日私は26回目の誕生日を迎えました。まず、生んでくれた両親に感謝。ありがとう。
おれのことは心配いらんよ。流石に26年も生きれば、生き方のひとつくらい見出したからさ。

気付けば拙ブログも連載1年が過ぎました。ひとえに、みなみなさんの支えがなければ今までこうしてやってこられたかどうか。個々の貴重な時間を割いてわざわざ此処においでになってくれる愛おしいみんな、ありがとう。
相変わらずマイペースな私で、滞り癖が治らないしがないブログを、これからもひとつ宜しくお願いします。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _


I'm In Love With You/ Raphael Chicorel ('72)

ラファエル・チコエルという一人のミュージシャンが自主制作したこのアルバムから、ひとつの愛情表現を教わり、それが私の抱く理想の愛情表現と姿を変えた。
息子Jocko(父親の名前を付けたそう)とのデゥエット曲"Walking with Jocko"、妻に捧げたであろうクリスマスソング"You're My Christmas"からもわかるように、ラファエルは自身が持つ慈愛をそのまま歌にのせた。
彼のリラックスした優しい歌声は、エモーションで訴えた無償の愛の証。
エヴァーグリーン認定盤。

1.At Least We Had This
2.When Love Was New
3.Dear Dorine
4.Simultaneously
5.Walking With Jocko
6.I'm Glad It Was You
7.You're My Reason
8.The Bird
9.I'm In Love With You
10.You Are So There
11.You're My Christmas
12.The Horses Visited Last Night
13.You Will Know Of Love
14.All That Love Making

試聴できます♪
ライブ盤
Reflections /Ralph Reichert Quartet with Randy Sandke ('04)

「ひとたび目を閉じてごらんなさい。オトナの世界にお連れいたしましょう」そんな台詞が聞こえてきそうなジャケットが中身を物語るように、一貫して「オトナの演奏」。静寂した空間にどこまでも似合う、稀有な一枚。
大人げない私はもうすぐ26歳...
エヴァーグリーン認定盤。

Ralph Reichert (ts)
Buggy Braune (p)
Andreas Henze (b)
Wolff Reichert (d)

Special Guest:
Randy Sandke (tp)

1.Just In Time
2.My Ideal
3.Reflections
4.Darn That Dream
5.Bernie's Tune
6.Nancy With The Laughing Face
7.It's Might As Well Be Spring
8.What Is This Thing called Love
Joki Freund独CBS原盤
Yoki Jazz /Joki Freund Sextet ('63)

私が所有するLP/CDには59年から64年にかけての音源が非常に多いのだが、本作も63年だった。
薄気味悪いジャケットに、前衛的な演奏。ライナーに目を通すと「商業主義を排し芸術至上主義に徹した...」
とある。どおりでこれまで聴いてきた"63年"の音とは一線を画すわけだ。気軽にiPodに落として散歩の途中にでも聴こうものなら痛い目に遭いそうだ。演奏を聴くと"スピリチュアル"なんて言葉が容易に頭の中を霞める。
が、あまりに陳腐。写真やアート作品と向き合うのと一緒で、これは一つの音芸術として鑑賞するのが最も正しい接し方なのかもしれません。なので、敢えてオススメはしません。...あー、夢に出てきそう。
エヴァーグリーン認定作品。

Joki Freund (ts,ss)
Emil Mangelsdorff (as,fl)
Wolfgang Dauner (p)
Eberhard Weber (b)
Karl Theodor Geier (b)
Peter Baumeister (d)

1.Caraban
2.Aisha
3.The Caribbean Ringo
4.Killer Joe
5.Hl 20
6.Yogiana

澤野工房で試聴できます♪

E il Suo Complesso /Alessandro Alessandroni

ピエロ・ピッチオーニ、エンリオ・モリコーネ、アルマンド・トロヴァヨーリに並び、当時のB級イタリア映画のサントラ物を数多く手掛けたアレッサンドロ・アレッサンドローニのライブラリー作品from Dejavu。

彼が率いるCantori Moderniの官能的なスキャットコーラスにオルガンをフィーチャーしたイタリアン・ボサというお約束の構成に逆ってスリリングなピアノジャズ(ブレイクス)が!...とはいってもそこはライブラリー。じっくり聴き込むタイプの曲ではないのですが、スパイ映画のワンシーンに挿入されそうな4ビートジャズ"Hammurabi"が抜群にカッコいい。

A-Side
1.Meccanico
2.Primavera
3.Introverso
4.Lungo La Strada
5.Hammurabi
6.Intimita

B-Side
1.Ninive
2.Bossa Italiana
3.Beat For Love
4.Diagrammi
5.Domenica In Riviera
6.Psichedelico
7.Gita A Milano