Night Lights : Gerry Mulligan | エヴァーグリーンをさがして。

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Night Lights /Gerry Mulligan ('63)

古くはマイルス「クールの誕生」のレコーディングに参加し、USモダン(ウエスト・コースト)・ジャズの一時代を築いたバリトン・サクソフォニスト、ジェリー・マリガンの大名盤であると同時に、愛聴盤だ。
タイトル曲の"Night Lights"は、静寂に包まれた夜の街並みの空虚感から生まれる哀愁を見事に表現している。...しかし北国で生まれ育ったせいか私は、静寂に包まれた夜の街並み外れた大地一面に深々と降りしきる雪景色を思い浮かべてしまう。シュゥウワー、シュゥウワアァー。ドラムのブラシが雪に踏み込む摩擦音に聞こえて仕方がないのである。キーンと張りつめた冷気はアート・ファーマーのトランペット。モノトーンの凍みた世界を柔らかに照らす街路灯はジム・ホールのギター。マリガンのピアノは、舞い落ちる雪の如く。
全体的にクール・トーンで統一されているのに、温もりがある。あくまで自然体の演奏がリラクゼーションとなり、心に響く。エヴァーグリーン認定盤。

ジャズを聴き始めの頃、このアルバムに出逢った早々にジャズの魅力に憑かれた。
何時だったか「ジャズの好き嫌いを兎や角言う前に100枚は聴きなさい。判断するのはそれから」なる台詞を耳にした憶えがある。「感性は磨かれる」のコトバ通り、なるほどと思った次第であるが、それは一人の人間の見解であって、リスナーは万といる。アーティストも万といることだろう。最も人間的で人間臭い文化所産があるが故に、国や歴史・文化による差異からも様々なスタイルが存在する。
心許し合うまでに時間のかかる人、すぐにでも打ち解ける人がいると思えば、いつまでも打ち解けられない、まったく交わることなくすれ違う人だって当然いる。ともなれば数もある程度必要だけど、音楽も人間も、要は相性なんだ。

Gerry Mulligan(bs,piano on 1)
Jim Hall(g)
Bill Crow(b)
Dave Bailey(ds)
Art Farmer(tp,flh)
Bob Brookmeyer(tb)

Side-A
1.Night Lights
2.Morning Of The Carnival (From "Black Orpheus")
3.Wee Small Hours

Side-B
1.Prelude In E Minor
2.Festive Minor
3.Tell Me When